ワインと旅の随想 「issyさんの日記」 bQ4 洞 爺 2004.7月 |
随分暑くなってきたし、暫く家から離れていないので、北海道の洞爺湖近くのリゾートホテルに滞在してきました。 七月十一日 九時二十五分伊丹発の日航機に乗り、新潟や秋田の上空を飛んで、十一時十五分には千歳空港に着きました。まずJRの「みどりの窓口」に行き洞爺駅までの乗車券を求めました。少し時間はかかりましたが駅員さんは親切で、特別割引の往復乗車券と、スーパー北斗十二号の特急券を選んでくれました。空港内にJR新千歳空港駅がありますが、洞爺に行く札幌発函館行きの特急は、隣の南千歳駅まで行って乗換えなければなりません。 十二時三十四分新千歳空港発、一駅のって十二時三十九分南千歳着、スーパー北斗十二号は十二時四十九分南千歳発、空港で適当な食堂を見つけることが出来なくて買ってきたお寿司と缶ビールでお昼を済ませ、十三時五十九分に洞爺駅に着きました。駅前には予約してあったホテルのシャトルバスが待っていたのですぐ乗り込み、バスは十四時十分に発車しました。 平成十二年三月三十一日有珠山が噴火して、このあたりが大きな被害を受けたことを覚えておられると思います。駅は内浦湾に沿っていますがまず峠を越えて洞爺湖畔に向かいます。バスの窓からむき出しの火口壁や溶岩に埋まった建物や、噴石の転がった荒地を眺めながら洞爺湖温泉街の停留所に寄り、湖岸の国道二三〇号線を暫く北に進むとホテル入口の大きな看板が出ています。此処から通称ホテル専用道路と呼ばれる道に入り、今までと逆行するように走りどんどん高度を上げます。霧が深くなって殆ど何も見えなくなりました。見通しがよければ湖の景色もホテルの遠景も美しいのですがと運転手さんが残念がりました。十五時にホテルに着きましたが霧の中でミルクに潜っているような気持ちです。 自室からの眺めも洞爺湖が美しく見えると聞かされましたが、今日は霧が少し薄くなったとき中島がうっすらと見える程度です。このホテルは標高約七〇〇米の山上にあるので内浦湾も洞爺湖も見える絶好の位置にあるのですが、気温が低く湿った空気の時は霧に災いされるそうです。 夕食は日本料理の店で地もとの産物の京風料理に、私としては珍しくお燗した日本酒を頂きました。 七月十二日 昨日と同じように霧の中です。しかし予報ではいくらか良くなると言っています。北海道に梅雨は無いのですが、このあたりは道南で青森あたりに近く梅雨前線の影響を受けるようです。朝食は昨夜と同じ店で和食です。普段の私が食べるより多目の量でしたが欲を出して食べました。温泉はあまり好きでないし、プールもジムも好きでないのでホテル内をぶらぶら歩き、昼食は自室でお菓子や紅茶で済ませました。 午後少し低い所まで行けば景色は見れますよといわれて、散歩に出かけました。下りても下りてもなかなか景色は見えません。やっと湖が見えるところまで行き着いたので暫く眺めて引き返しました。二粁ぐらいは歩いたと思います。 夕食はフランス料理にしました。フォアグラやステーキでしたが選んでもらったヴォジョレーがデカンティングしてもらったにもかかわらず、お値段の割りに私には何となくあわなくて、いっそのことサンテミリオンなどボルドーのものにしたら良かったかなーと思いました。 七月十三日 今日も霧の中です。それでも大分明るいようです。朝から近くの草むらや林が見えるようになって来ました。 朝食は同じ店にしました。ご連泊ですねと言われたのでうなずくと、殆ど同じ献立が続きますので少し変わったものを用意しますから暫くお時間をくださいといわれ、納得して待っていると周囲の人とは異なった献立を運んできてくれました。朝食でこんな扱いをしてもらうことは少ないので感激して、今度の宿泊中はずっとこの店で朝夕の食事をすることにし、そのように予約しました。 今日は洞爺湖温泉街まで行くことにしました。一〇時のシャトルバスに乗ると二十分ぐらいで着きました。バスターミナルに近い所がシャトルバスの停車位置です。 少し山側に行くと交番があり駐車場から金毘羅山火口群がよく見えます。荒々しい火口壁や溶岩に埋もれた建物などがあります。こんな近くに噴火口が出来たのに何故最小限の被害ですんだのでしょうか。それは有珠山はウソをつかない山だからだそうです。明治の終わりごろから三十年に一回の噴火を繰返しているのです。平成十二年三月二十八日の地震などで噴火が予告され自主避難が始まり、二十九日には「避難指示」が出され、自衛隊に出動要請がなされました。三十日には地割れが確認されました。三十一日午後一時七分第一回の噴火が起こりました。 その後噴火を繰返し最終的には六十数ヶ所の噴火口が出来たそうです。金毘羅山火口は四月一日十一時四十分に噴煙や噴石とともに大量の火山灰を噴出し人頭大の噴石が民家を直撃したそうです。 湖畔に出てみました。東から西へ大きなホテルや旅館が並んでいます。NTTの大きな保養所があったのには抵抗を感じました。一つ山側の道路沿いにも建物がぎっしりと並んでいます。湖畔には彫刻も並べられています。「洞爺湖ぐるっと彫刻公園」の一部になっているようです。 遊覧船は半時間ごとに出ていますし、貸切のモーターボートや貸しボートが沢山並んでいます。しかしお天気が好くないので観光客は少ないようです。霧の晴れたとき僅かな時間でしたが遠くの山上にある私達の泊っているホテルが見えました。湖畔通りを西に歩いてゆくとほぼ町並みが終わるところに来たので一つ山側の商店街に移って東に戻ります。 丁度昼時なので饂飩でも食べようかと気をつけて歩きました。小さくて暖簾のかかった店でしたが人の出入が多かったので入って見ました。間口は狭かったのですが奥行きがあり、沢山のお客が入っていました。山菜饂飩を注文しました。割りに美味しいと思いましたが値段だけは都会並みでした。温泉町での昼食ですから上々だと思います。 シャトルバスの出るまでには少し時間があったので火山科学館の建物に入ってみました。地下一階はバスターミナルです。一階はショッピングセンターに食堂や学習室もあります。二階から有料になります。二階は有珠山噴火展示コーナーと記録映像室です。噴火により被害した品々が展示されています。その中心は火山灰をかぶりその上人頭大の噴石の直撃を受けて潰れた乗用車です。眺めているうちに丁度記録映像が上映される時刻になりました。 入場したのは一般の人のほかに修学旅行の中学生も一緒でした。噴火の前兆とそれについての対策、連続して起こった噴火の状況、噴火によって起こった山林・建物・道路・鉄道などの被害などが次々に映し出され、みんな固唾を呑んで見守りました。三階は火山展示室で一般的な火山について展示説明がされています。また有珠山については一万三千年前に活動を始めてから現在までの経過が模型などで展示説明されています。四階は屋上で金毘羅火口や洞爺湖が見渡されます。 シャトルバス出発の時刻になったので館外に出ると間もなくバスが来たのでそれにのってホテルに向かいました。途中でビッツェリアの「ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ」によりました。二階がピッツァと軽食の店で一階はジェラテリアと言ってイタリア風アイスクリームの店です。冬季には此処からロープウェイに乗ると五分でホテルまで行けるそうですが夏場は運宮中だそうです。 隣にある厩舎からはホーストレッキングが催されるそうで、帰ってきた人が馬から下りている所でした。ホテルまで帰ってきましたがやはり霧の中です。ホテル一階中央にある噴水を囲むカフェ・ジェラール・ミュロで紅茶を飲んで一服し自室に戻りました。窓からは風によって霧が薄れると洞爺湖温泉街がうっすらと見えることがあります。 夕食は和食で日本酒を頂きました。 七月十四日 朝霧は昨日より薄いようです。朝食は例によって和食にしました。 午前中ホテルの周囲を散歩しました。 霧が随分薄くなったのでホテルの周囲にも散歩に適した場所があります。ホテルの中にゴルフコースがあり、オールウェザーのテニスコートも三面あります。今は運宮中なのでひっそりとしていますがロープウェイの駅もあります。ゴルフコースからは内浦湾が、ロープウェイの傍からは洞爺湖が眺められます。 今日からNHKのドラマ新撰組に沖田総司役で出演中の「藤原竜也」とそのファンクラブ三百人が来るというので何となくホテル内が緊張しているようです。昨年までは外国で行われていたのに国内で初めて選ばれたと言うので無理もありません。昼食はベトナム料理にしました。少し歩き回って喉が渇いたのでサイゴンというベトナムのビールを飲みました。以前に現地で飲んだことかあったので懐かしい気がしました。 生春巻きも麺もニュクマムも味は覚えていました。 夕食は例の通り和食にしましたがいつもと違って中年のお客さんが多いようでした。 ファンクラブの沢山の若い人は大部分が洋食に行ったようです。 七月十五日 朝霧は日に日に薄くなるようです。朝窓を開けたとき既に洞爺湖がうっすらと見えるようになりました。 朝食は例の通り和食でしたがさすがに若い人も増えたようです。帰りに評判の好い隣にあるブーランジェリー・オテル・ド・カイザーというパンの店でパンを買い昼食として自室で食べることにしました。 午前中に散歩に出ましたが若い人が沢山ウロウロとしていて落着きません、早々と自 室に戻ってテレビを見て過ごしました。 窓からは随分遠くまで綺麗に見えるようになりました。先日歩いた温泉街やその後ろの昭和新山など懐かしく眺められます。ときどき遊覧船などが走るのも見えます。昼食にパンと紅茶と果物を食べましたが評判どおり美味しいパンでした。明日の昼も同じようにしたいと思います。 午後は藤原竜也の朗読などが行われているらしく、外に出ている人が少なくなったので散歩に出てみました。薄い霧が流れますが日の光が強くなったように感じます。ゴルフ場もオープンになったようでプレイする人たちの姿が見えています。 夕食は例によって和食と日本酒にしました。献立に気を使ってもらえるので嬉しく思います。 七月十六日 朝食は例の通り和食です。帰りにパンを買って帰り自室でテレビを見て午前中を過ご しました。 昼食は昨日と同じパンと紅茶と果物です。 午後は此処に来て未だ一度も羊蹄山の頂上がが見えていないので、良く見えそうなところまで行ってみることにしました。ファンクラブの人たちは既に帰ったらしく散歩する人の姿も希です。野外駐車場を過ぎ、九合目の札が掛けられた電柱の傍まで来ると洞爺湖側が良く見えます。目を凝らしてみるとときどき羊蹄山の山頂が雲の中から顔を出します。写真を撮ろうと努力しましたが思うようにはいきませんでした。 標高ほぼ二千米の山ですがやはり群を抜いて高く、晴れていれば蝦夷富士の別名通りの姿を見ることが出来たのでしょうが、いささか残念です。それでも何とか頂上が映る画像が取れて安心しました。 夕食はお店の人がもう最後の晩餐ですねと心のこもった料理を出してもらって、お酒も美味しく頂きました。 七月十七日 朝食は例によって和食です。帰りにパンを買って自室に戻りました。 午前中に帰り支度をして早めにパンの昼食をとり十二時にチエックアウトの手続きを 済ませ、ロビーでくつろぎました。 十二時五十五分シャトルバスでホテルを出発し、定刻十三時四十分より早めにJR洞爺駅に着き暫く待ちました。このあたりは燦々と日が照って気持ちの好いお天気です。 十三時四十九分洞爺駅発のスーパー北斗九号は少し遅れて入ってきました。三連休のせいか割りに混んでいます。十五時三分南千歳に着き十五時十三分発の列車に乗換え、十五時十六分に新千歳空港駅に着きました。少しお腹が空いていたので空港待合室でサンドウィッチを買って食べました。 十六時二十分千歳空港発大阪伊丹行きの日航機は連休のため満席です。荷物が大きすぎると言われ貨物室預かりにされた人もありました。途中水害のあった北陸地方の上空を飛びましたが雲の上で少しゆれが大きい程度でした。 十八時十分無事伊丹空港に帰ってきました。今まで十七度くらいの所にいたのが急に三十度以上のところに来たのでびっくりしてしまいました。いくら霧が多かったといっても北海道は良かったなーと思いました。 |
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