ワインと旅の随想 「issyさんの日記」

bP3 シェークスピア 2003.2月


 今回は少し変わった話をして見ましょう。まずシェークスピアによって有名になった、ハムレットの話です。

 デンマークに行った時の事です。首都のコペンハーゲンはシェラン島にありますが、ある日の午後北シェラン島の城巡りに出かけました。デンマーク全国での最高峰が標高一七三米ですから、なだらかな起伏はあっても山らしいものは全く見えません。

 コペンハーゲンから三六粁でフレデリックスボー城に来ました。デンマークで最も美しい城です。三つの小さな島の上に建てられていて堂々たる姿を湖に映していました。

 さらに一〇粁近く走って良く似た名前のフレデンスボー宮殿に着きました。現王室の春と秋の居城で、一七一九年に建造されたバロック建築です。美しい湖と公園に囲まれ「平和の城」と呼ばれています。けばけばしさや武骨さのない庶民的な宮殿です。

 クロンボー城には、さらに二〇粁近く走って着きました。古い煉瓦色の壁と緑青色の屋根を持つ落ち着いた城です。シェークスピアの「ハムレット」の舞台として有名です。要塞は一四一二年の建造で再建と修復が繰り返されています。

 近付いて西側から見ると、濠と城壁を隔てて南側中央に高いトラムピーターズタワーと北東角にクイーンズタワーを持った正方形の城が見えます。入口はクイーンズタワーの傍なので濠に沿って随分歩きました。

 城の北側にある見晴台に登って見ました。元来大砲などが据えられていた所でしょう。クイーンズタワー下の砲座には昔の大砲が十数門並べてあります。幅五粁のオアスン海峡を隔てスウェーデンのヘルシンボーの町並みが見えています。こちらデンマーク側の町はヘルシンガーです。

 橋を渡って城壁の門を潜りさらに建物の中庭に入りました。入口近くにはハムレットの胸像等もありましたが、城壁にデンマークの作家のレリーフがあって(申しわけないのですが名前を忘れてしまいました)、ハムレットは彼が書いた小説をもとにしてシェークスピアが劇にしたものだと説明されています。主人公の名前もAMLETHであり、末尾のHを頭に持ってくるとハムレットになります。またこの歴史小説のもととなった事実は、ユトランド半島の話であり、この城は関係がないし、筋書きも
少し変えられているとのことです。

 私はハムレットを詳しく読んだことはありませんし、その劇話の舞台に来ると知っていれば前もって読んでおくはずでしたが、それもしていませんでした。今から思うと残念なことです。それにしても私はシェークスピアは小説家と誤解していました。彼は詩人であり劇作家だったのです。劇作家であれば他人の小説を劇に仕立てることは当然ですが、何となく釈然としないものがあります。

 旅行には準備が必要ではないでしょうか、予備知識が必要と思います。私はいつでもある程度の準備はするのですが行ってみるとまだまだ足りなかったと思うことばかりです。




  次はベニスからミラノに行く途中のベローナに立ち寄った時のことです。

 ジュリエットの家

 昨夏、当店のワイン会のメンバーが
行かれた時の写真です。
             ヒラオカ 

 まずカステルベッキオ(古城)に行きました。六つの望楼とそれを連ねる城壁があり、跳ね橋も残っています。城の一部であるアディージェ河に架かった要塞的石橋と呼ばれている橋、右岸の城と左岸の城を繋ぐスカリジェーロ橋から街の景色を眺めると、ベローナの落着いた雰囲気がしみじみと肌に感じられます。

 古城の少し東にはブラ広場があります。噴水、芝生、緑の植込にリストンと呼ばれる幅広い歩道やスポーツ施設があり、カフェやレストランも並んでいて賑やかです。 広場の半分以上を占めているのが、ベローナのアレーナ(円形劇場)です。ローマのコロッセオ、ナポリ近郊のカプーアに次いで三番目の大きさです。 一世紀に建造されていて、長径一五二米、高さ三〇米あり、二層のアーチで囲まれた堅牢な建物です。ほぼ完全に残っていますが、何回も修復工事はされているようです。

 一九一三年以来ここで演じられる歌劇特に「アイーダ」が有名で、毎年夏が歌劇公演の期間なので、間もなく始まる公演のために、南側は舞台を造る作業中であり、本来のアリーナ(広場)には椅子が並べられ、併せて約二万五千人収容できると言っていました。

 中世風の町並を行くと、女人像の噴水があるエルベ広場に来ました。ローマ時代には集会所(フォーラム)のあった所で、演説をした場所などが残っていますが、今はテント張りの店が並ぶ市場で、肉や野菜を買う市民で賑やかでした。

 近くにロメオとジュリエットに出てくるジュリエットの家があります。シェークスピアは、神聖ローマ皇帝を支持していたカプレッティ家の姫、ジュリエットと、ローマ法王を支持していたモンテッキ家の貴公子、ロメオをモデルにしたのだそうです。

 門を入ると中庭で、片隅にジュリエットの像が立っています。その右の乳房を撫でると、素敵な恋人に巡り合えると言われていて、観光客が次々に撫でて行きます。

 建物は十三世紀に建てられたのですが、その後何回も手が加えられ、ロマネスク風のアーチや円窓の傍に、ゴシック風の窓があったり、問題のバルコニーでさえも随分後で付け足されているそでうす。

 この時も予めもつと調べてゆくと良かったと思いました。

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