ワインと旅の随想 「issyさんの日記」


               No.9  2002.10



bX 遊覧船



 なんと言ってもニュージーランドのミルフォードサウンドの遊覧船が一番思い出の多いところです。そこからお話しを始めましょう。

 サウンドとは氷河によって削られた深く細長い入江です。ここミルフオードの町は入江の一番奥ですが水深三〇〇米もあり、無気味なほど静かで、黒い程の藍色です。バスから降りて急いで豪華な観光船ミルフォード・ヘブン号に乗り込みます。乗るとすぐ食事が出ました。クレイフィッシユ(伊勢海老)などのシーフード料理です。

 しばらくは食べながらの見物です。まず北岸に一六〇米を一気に落下するボーエン大滝があり、あたりは濛々たる水煙です。水際にセメタリー・ポイントと呼ばれる所があり滝が落とした岩石が高く盛り上がって、巨大な墳墓のようです。

 船は南岸ぞいに進みます。中央に聳える山は滅多に全容を見せることはないそうですが、司教の冠に似た形をした、標高一六九四米のマイターピークです。海から直接聳える山としては世界で一番高いそうです。

 船は更に進んで一度タスマン海に出ます。そこでUターンするので大きなうねりに激しく揺れます。外海から見ると大きな入江があるようには見えません。サウンドの発見が遅れたのも無理はないと思います。

 今度は北岸に沿って帰ります。デール・ポイント、スターリング滝、エレファント岩、ライオン岩、岩と言っても大きな山です。ハリソン川の川口では海豹が二頭、岩の上で日向ぼっこをしていました。

 雨の多い天気でしたが、こんなに沢山の滝が見られるのはラッキイですよ、と船員に言われる一時間の楽しい船旅でした。 

 次に訪れたとき遊覧船で廻るミルフォードサウンドは雲で山々の頂が見えません。海岸から直接聳える山としては世界最高のマイター・ピーク(標高一六九六米)も、五合目までしか見えません。これまで雨が少なかったので滝の水量が少なく迫力が劣るようです。ハリソン湾の入口には今日は海豹が七頭も岩の上で遊んでいました。

 このときとても珍しかったのはイルカの群れです。普段はミルフォードサウンドであまり見掛けないそうですが、拡声器で英語の案内の後に、「皆さん!イルカが沢山いるようです!」と日本語が流れました。
 
 二隻の遊覧船が連絡を取り合って早い速度で平行して走り始めると、船首付近や両船の間に一〇頭以上のイルカが集まってきて、ジャンプを繰り返しながら船と競争するように泳ぎ始めました。可愛らしいイルカが演技するショーとは異なって、とても大きなイルカで物凄い迫力を感じます。景色どころではなく、暫くはみんな歓声をあげながら見とれていました。



               
 次はフイョルドの本場ノルウェーのお話です。ソグネフィヨルドは世界最長で約二〇〇粁あり、最深一三〇〇米もあります。また沢山の枝谷があります。グドバンゲンはその枝のなかでも最も景色が良いと言われるネーロイフィヨルドの奥にあります。私達はベルゲンからバスでグドバンゲンまでやってきて、ここから隣の枝谷にあたるアウールランフィヨルドの奥にあるフロム迄、観光船で行くのです。

 お弁当持参で乗り込みました。それでも景色が美しいのはネーロイフィヨルドの谷なので、前半は我慢して景色を眺め、後半に食べるように勧められました。フィヨルドはU字谷で水深が深く、両岸が峻しいのが特徴ですが、此処の岸は緑が多い急斜面ですが、岩肌の露出した崖などはごく僅かです。水路がうねうねと続き、行き止まりではないかと思えばまた開けるとか、高い所から豊富な水量の滝が一気に海面まで落ちてきたりする景色が愉快です。

 鋭く右に折れて隣のアウールランフィヨルドに入ると、幅が随分広くなります。景色が大まかになります。お弁当を開くことにしました。間もなく左側に古いアウールランの街が見えてきました。新しい観光基地フロムに着くのももうすぐです。

 フロムには街らしいものはありません。波止場と船会社と駅と鉄道会社と数棟のお土産品店兼飲食店だけです。私達はフロム鉄道に乗り、途中ショースの滝を見物しミルダールまで行くのでが、列車の出る三時迄随分時間があります。しかし沢山の人が列車や船を待つているので落ち着いて休む所がありません。おまけに日は照るし、みんな日陰を求めて歩き回っています。とても疲れました。

  

               
 次は同じ北ヨーロッパでもフィンランドのお話です。首都ヘルシンキのマーケット広場は今日も賑やかです。海岸には遊覧船が並んでいます。乗り場近くの案内板に「海からのヘルシンキ観光一時間半」と書いたものだけでも四社あります。かねて教わっていたロイヤルラインのカタリナ号を探して乗りました。
 
 一一時に出港しました。少し早いですが軽食が出ました。ワインの注文にも応じてくれました。右にエストニアに行く大きな船、次にシリヤラインの船、左もバイキングラインの大きな船、続いて小さな島が二つ、のんびり眺めながら、右の岬を回るとカイポ公園です。公園に沿って進みます。沖に散在する大小の島は市民の憩いの施設が整えられています。海水浴場、釣り場、ヨットハーバー、レストラン、色とりどり
のビーチパラソルも見えています。
 
 これらの島々をまとめてぐるりと回り次はスオメンリンナ要塞に向かいます。ヘルシンキを守り難攻不落といわれた一八世紀の要塞跡です。海からヘルシンキに入るには、港を取り囲む島々の間を通らねばなりません。大きな船が安全に通れるのはスオメンリンナ要塞両側の水路だけでした。

 要塞は四つの島を橋で結び、海岸は保塁を築き大砲を並べ、島内には兵舎や武器弾薬庫を設け沿岸潜水艦を配備していました。今は司令官の住居に要塞の歴史的資料を展示して博物館にしたエレンスバード博物館と潜水艦ベシッコが見学できるそうです。

 要塞以外の外洋に面した島々にも、修道院を建てたり、測候所を設けたり、島の大きさに似合わない堅固な建物が建っています。要塞の傍を通りぬけ一度外洋にでます。それでもそんなに波はありません。一番奥にはサンクト・ペテルブルグがある細長いフィンランド湾の一部だからです。

 また内海に入ります。右の島は緑の多い自然を残した島です。次に連なる島は石油タンクが並んでいますが、裏側はリゾート地域になっているそうです。この二つの大きな島は本土と次々に大きな橋で結ばれていて島とは言いにくいようです。

 クロサーリ島に来ました。昨日昼食を食べたクロサーレン・カジノの建物が見えます。昨日は気が付かなかったのですが、橋でつながっていても完全な島です。

 次はクロケアサーリ島を左に見ながら進みます。動物園があり私達のホテルの近くから外輪船が出ていまし、南港からも連絡船が出ています。

 右はヘルシンキ北港です。市の中心部が見えてきました。大聖堂がひときわ高く聳えています。カタヤノッカ島のつけねにあるウスペンスキー大聖堂も見えています。カタヤノッカ島に沿って右にゆっくり曲がるとヘルシンキ南港です。右にバイキング・ラインの船を見ながら速度を落とし、昼食を食べながら過ごした一時間半のクルーズは終り、マーケット広場に帰ってきました。


 シドニーではキャプテンクック・ランチョン・クルーズに参加しました。サーキュラー・キーを出た船は、まず東に向かってオペラ・ハウスの沖を通ります。蛤の殻をイメージしたいつみても美しい建物です。見る場所と時刻によって七色に変わると言われていますが、何故か今日は壁の色が肌色に見えます。後ろの丘には総督の屋敷が見えています。

 食事は自由に選べますが、さすがに肉好きの私達も連日の肉料理で食傷気味です。私達は久しぶりに平目のムニエルにしました。嬉しいことにワインは飲み放題です。

 今は陸続きになっているガーデン島を過ぎ、ヨット・ハーバーまである豪邸の続くダーリング・ポイントを眺めながらダブル・ベイまで来ました。このあたりは有名な商店や料理屋が多いそうですが、その代わりお値段も高く、口の悪い人はダブル・ペイと呼んでいるそうです。ここでUターンし、右に広大な森を持つ国立タロンガ動物公園のブラッドレー岬の前を通り西に向かいます。

 左側にオペラ・ハウスを見ながら通り過ぎると、先刻出航したサーキュラー・キーと真っ白い豪華客船キャンベラが見えます。正面は古い洋服掛けとあだ名されているハーバー・ブリッジです。

 橋の下の両岸は古い要塞の跡で旧式の大砲などが並べてあります。ここはシドニー湾で最も交通量の多い所です。右岸は北シドニーの住宅街になっています。。続くルナ・パークの沖を過ぎ、ゴート島を回って東に戻ります。

 ハーバー・ブリッジの手前、右側の入り江はダーリング・ハーバーで帆船時代のシドニーでの貿易の中心地でした。船のすぐ右側に観光客や若い人に人気のある、ピア・ワンが見えてきました。昔はこの埠頭が外国航路の船に使われていたそうです。橋を潜ると右側はすぐサーキュラー・キーでこのクルーズは終わりになりました。
          
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